2019-04-25

新元号を、英米メディアはどう報道した?

4月1日に新元号が発表され、5月1日からは「令和」の時代になります。この「令和」の意味を英語で説明するのに用いられた表現が、「英辞郎 on the WEB」でも検索ランキングの上位に登場していたので、ご紹介しましょう。

まずは「令」。イギリスのBBC放送では「令」を、Rei can mean "commands" or "order", as well as "auspicious" or "good".(「令」はcommandやorder、あるいはauspiciousやgoodの意味がある)と紹介しました。「令」については他に、decree、beautiful、joyful、fortunateなどと説明したメディアもありました。幾つかの語について、意味や使い方を見てみましょう。

commandは「命令、指令」や「指揮権」を表し、The command of custom is great.(慣習の命ずるところは重大だ。◆ことわざ)や、He's under my command.(彼は私の指揮下にある)のような形で用いられます。

orderは「秩序」の意味で紹介されたと思われます。この意味での例文として、「英辞郎 on the WEB」では I want order in this courtroom.(この法廷では静粛に願います)、「英辞郎 on the WEB Pro」では、騒がしい生徒たちに向かって先生が言う、Class, come to order.(みんな静かに)などが紹介されています。

あまりなじみのないauspiciousは、「幸先の良い、縁起の良い、吉兆の」という意味の形容詞です。auspicious startとなると「幸先の良いスタート」を表します。「令」には「良い」という意味もあるので、auspiciousはそこから来ているのでしょう。

decreeもあまりなじみがないかもしれませんが、「法令」という意味を持つ名詞です。例えば、A new government decree limits freedom of speech.(新しい政府の法令は、言論の自由を制限します)のように使われます。

一方の「和」は、BBC放送で、Wa often means "harmony", and is also used in the Japanese word for "peace" - "hei-wa".(「和」は harmonyを表し、peaceの意味で用いられる――平和に見るように)と紹介されました。harmonyは「調和、合致」、peaceは「平和、和平」ですね。BBCだけでなく、多くの海外メディアが「和」をpeaceまたはharmonyとしています。

では、「令和」としては、どう紹介されたでしょうか。 アメリカのニューヨーク・タイムズ紙は、「令和」には複数の意味があるとし、日本国内ではorder and peace(秩序と平和)、auspicious harmony(めでたい調和)、joyful harmony(喜ばしい調和)の意味であるとしています。また、pursuing harmony(調和を希求する)という意味を紹介したメディアもありました。

報道によると、このようにさまざまな解釈が紹介されたことを受けて外務省は4月3日、「令和」を英語で説明する際にはbeautiful harmony(美しい調和)という表現を用いるよう、在外公館に対して指示を出したとのこと。

これからの「令和」、どんな時代になるのか期待が膨らみますね。

2019-04-15

あの人気映画の決めゼリフの意味は?

3月14日以降、「英辞郎on the WEB」ではwhatever it takesというフレーズの検索が急増しました。これは、日本で4月26日に公開される映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』の予告編にこの表現が登場したためと考えられます。「アベンジャーズ」シリーズは人類を危機から救うため有名なヒーローが集結するSFアクションで、『アベンジャーズ/エンドゲーム』はその最新作です。

3月14日、ツイッターでは、The AvengersやMarvel Studios(「アベンジャーズ」シリーズを製作している映画会社)などのアカウントが、以下のようなツイートとともに、この映画の新しい予告編を紹介しました。

Whatever it takes. Watch the brand new trailer for Marvel Studios’ #AvengersEndgame, in theaters April 26.(何としても。4月26日公開、マーベル・スタジオが贈る『アベンジャーズ/エンドゲーム』の新しい予告編をご覧ください)

ツイートだけではなく、予告編の中でもWhatever it takes.は非常に印象的に用いられています。終盤で、4人のヒーローが次々と"Whatever it takes."とつぶやき、戦いへの決意を表明するのです(予告編はこちらから見ることができます。Whatever it takes.が出てくるのは1分34秒ごろからです)。

whatever it takesは「何としても」と訳されます。whateverは「何が~でも、どんなことが~でも」の意味です。take には「~を要する、必要とする」という意味があり、目的語に労力や勇気などを表す語句を取り、it takes ~ to ...(……するのに~が必要だ)の形で頻繁に使われます。例えば、Sometimes it takes courage to speak the truth.(真実を話すのに勇気が要るときもあります)といった具合です。

また、takeはchancegambleとともに使われると、「賭ける」という意味になります。take a chance on ~は「~に賭けてみる、~をいちかばちかやってみる」、take a small gambleで「ちょっとした賭けに出る」という意味です。

予告編の中ではwhatever it takesに「命をかけて」と字幕が付いています。それを受けて、ツイッターでは「この作品で誰かヒーローが死ぬのでは?」と予想している人もいました。さらに、「アベンジャーズは命だけを懸けているわけじゃないから、訳は『何をかけてでも』の方がよいのでは」という熱心なファンの見解も見られます。

皆さんなら、このフレーズにどんな字幕を付けますか?

2019-04-04

データ更新を行いました(2019年4月)

「英辞郎 on the WEB Pro」「英辞郎 on the WEB Pro Lite」「英辞郎 on the WEB」の定期更新(データの追加・修正)を実施しました。

現在収録しているデータは以下のとおりです。

「英辞郎 on the WEB Pro」「英辞郎 on the WEB Pro Lite」「英辞郎 on the WEB」
バージョンVer.155(2019年4月1日時点)
英和見出し項目数212万212万212万
英和例文数121万15万0
和英見出し項目数354万248万233万

英和見出し項目数が212万を超え、Ver.155となりました。また、「英辞郎」において、多義語のデータ順が変更されました。
前回(2019年1月28日版)更新時のデータ内容はこちらをご覧ください。


「英辞郎 on the WEB Pro」の例文データには、国立研究開発法人情報通信研究機構作成の『日英新聞記事対応付けデータ』が、英和対訳、和英対訳の形で組み込まれています。

2019-04-03

groundの意外な意味とは?

3月11日以降、通常、英辞郎の検索ランキングにはあまり入ってこないgroundという単語の検索件数が多くなりました。これは、「二度の事故を起こした米ボーイング社の飛行機737MAXが、中国で飛行禁止になった」というニュースに関連していると考えられます。

これとgroundにはどんな関係があるのでしょうか。groundには「〔悪天候・整備不備・規則違反などの理由により飛行機・操縦士・乗客を〕離陸させない、飛行禁止にする」という意味があるのです。さらに13日にはアメリカでも同機が飛行禁止となったことがニュースになり、検索件数がもっと増えました。Twitterでは英語でこのニュースを見た人の「ground=飛行禁止なんだ」というつぶやきがいくつか見られます。

groundは「グラウンド、校庭」という意味だと思っている方も多いかもしれませんが、これは和製英語です。「グラウンド」は正しくはplaygroundやfield、「校庭」はschoolyardと言います。

ただし、groundには「グラウンド」に近い、「土地、地面」という意味はあります。9.11のテロ事件で崩壊した世界貿易センターの跡地はGround Zeroと言いますよね。ground zeroにはそもそも「最も初歩の段階、中心地、爆心地」などの意味があります。

また、groundには「地面を転がるようにボールを打つ、ゴロを打つ」という意味もあります。「ゴロ」そのものはground ballまたはgrounderと呼ばれ、「2塁ゴロを打つ」ならhit a ground ball to the second basemanです。

groundは熟語での用法も多く、have a lot of ground to coverは、「やらなければならないことがたくさんある」という意味で、Let's realize we still have a lot of ground to cover.(まだやらなければならないことがたくさんあるんですよ)のように用います。

その他にgroundには、罰として「外出禁止にする、自宅謹慎させる」、「罰として行動を制限する」という意味もあり、I got grounded from video games for a week.(私は、1週間テレビゲーム禁止の罰を受けました)などと用います。アメリカの俗語としてとてもよく使われ、小説でもよく目にする表現です。

なお、例文を見るには、無料登録制の「英辞郎 on the WEB Pro Lite」をご利用ください。