4月1日に新元号が発表され、5月1日からは「令和」の時代になります。この「令和」の意味を英語で説明するのに用いられた表現が、「英辞郎 on the WEB」でも検索ランキングの上位に登場していたので、ご紹介しましょう。
まずは「令」。イギリスのBBC放送では「令」を、Rei can mean "commands" or "order", as well as "auspicious" or "good".(「令」はcommandやorder、あるいはauspiciousやgoodの意味がある)と紹介しました。「令」については他に、decree、beautiful、joyful、fortunateなどと説明したメディアもありました。幾つかの語について、意味や使い方を見てみましょう。
commandは「命令、指令」や「指揮権」を表し、The command of custom is great.(慣習の命ずるところは重大だ。◆ことわざ)や、He's under my command.(彼は私の指揮下にある)のような形で用いられます。
orderは「秩序」の意味で紹介されたと思われます。この意味での例文として、「英辞郎 on the WEB」では I want order in this courtroom.(この法廷では静粛に願います)、「英辞郎 on the WEB Pro」では、騒がしい生徒たちに向かって先生が言う、Class, come to order.(みんな静かに)などが紹介されています。
あまりなじみのないauspiciousは、「幸先の良い、縁起の良い、吉兆の」という意味の形容詞です。auspicious startとなると「幸先の良いスタート」を表します。「令」には「良い」という意味もあるので、auspiciousはそこから来ているのでしょう。
decreeもあまりなじみがないかもしれませんが、「法令」という意味を持つ名詞です。例えば、A new government decree limits freedom of speech.(新しい政府の法令は、言論の自由を制限します)のように使われます。
一方の「和」は、BBC放送で、Wa often means "harmony", and is also used in the Japanese word for "peace" - "hei-wa".(「和」は harmonyを表し、peaceの意味で用いられる――平和に見るように)と紹介されました。harmonyは「調和、合致」、peaceは「平和、和平」ですね。BBCだけでなく、多くの海外メディアが「和」をpeaceまたはharmonyとしています。
では、「令和」としては、どう紹介されたでしょうか。
アメリカのニューヨーク・タイムズ紙は、「令和」には複数の意味があるとし、日本国内ではorder and peace(秩序と平和)、auspicious harmony(めでたい調和)、joyful harmony(喜ばしい調和)の意味であるとしています。また、pursuing harmony(調和を希求する)という意味を紹介したメディアもありました。
報道によると、このようにさまざまな解釈が紹介されたことを受けて外務省は4月3日、「令和」を英語で説明する際にはbeautiful harmony(美しい調和)という表現を用いるよう、在外公館に対して指示を出したとのこと。
これからの「令和」、どんな時代になるのか期待が膨らみますね。
2019-04-25
新元号を、英米メディアはどう報道した?
2019-04-15
あの人気映画の決めゼリフの意味は?
3月14日以降、「英辞郎on the WEB」ではwhatever it takesというフレーズの検索が急増しました。これは、日本で4月26日に公開される映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』の予告編にこの表現が登場したためと考えられます。「アベンジャーズ」シリーズは人類を危機から救うため有名なヒーローが集結するSFアクションで、『アベンジャーズ/エンドゲーム』はその最新作です。
3月14日、ツイッターでは、The AvengersやMarvel Studios(「アベンジャーズ」シリーズを製作している映画会社)などのアカウントが、以下のようなツイートとともに、この映画の新しい予告編を紹介しました。
Whatever it takes. Watch the brand new trailer for Marvel Studios’ #AvengersEndgame, in theaters April 26.(何としても。4月26日公開、マーベル・スタジオが贈る『アベンジャーズ/エンドゲーム』の新しい予告編をご覧ください)
ツイートだけではなく、予告編の中でもWhatever it takes.は非常に印象的に用いられています。終盤で、4人のヒーローが次々と"Whatever it takes."とつぶやき、戦いへの決意を表明するのです(予告編はこちらから見ることができます。Whatever it takes.が出てくるのは1分34秒ごろからです)。
whatever it takesは「何としても」と訳されます。whateverは「何が~でも、どんなことが~でも」の意味です。take には「~を要する、必要とする」という意味があり、目的語に労力や勇気などを表す語句を取り、it takes ~ to ...(……するのに~が必要だ)の形で頻繁に使われます。例えば、Sometimes it takes courage to speak the truth.(真実を話すのに勇気が要るときもあります)といった具合です。
また、takeはchanceやgambleとともに使われると、「賭ける」という意味になります。take a chance on ~は「~に賭けてみる、~をいちかばちかやってみる」、take a small gambleで「ちょっとした賭けに出る」という意味です。
予告編の中ではwhatever it takesに「命をかけて」と字幕が付いています。それを受けて、ツイッターでは「この作品で誰かヒーローが死ぬのでは?」と予想している人もいました。さらに、「アベンジャーズは命だけを懸けているわけじゃないから、訳は『何をかけてでも』の方がよいのでは」という熱心なファンの見解も見られます。
皆さんなら、このフレーズにどんな字幕を付けますか?
2019-04-04
データ更新を行いました(2019年4月)
現在収録しているデータは以下のとおりです。
「英辞郎 on the WEB Pro」 | 「英辞郎 on the WEB Pro Lite」 | 「英辞郎 on the WEB」 | |
---|---|---|---|
バージョン | Ver.155(2019年4月1日時点) | ||
英和見出し項目数 | 212万 | 212万 | 212万 |
英和例文数 | 121万 | 15万 | 0 |
和英見出し項目数 | 354万 | 248万 | 233万 |
英和見出し項目数が212万を超え、Ver.155となりました。また、「英辞郎」において、多義語のデータ順が変更されました。
前回(2019年1月28日版)更新時のデータ内容はこちらをご覧ください。
2019-04-03
groundの意外な意味とは?
3月11日以降、通常、英辞郎の検索ランキングにはあまり入ってこないgroundという単語の検索件数が多くなりました。これは、「二度の事故を起こした米ボーイング社の飛行機737MAXが、中国で飛行禁止になった」というニュースに関連していると考えられます。
これとgroundにはどんな関係があるのでしょうか。groundには「〔悪天候・整備不備・規則違反などの理由により飛行機・操縦士・乗客を〕離陸させない、飛行禁止にする」という意味があるのです。さらに13日にはアメリカでも同機が飛行禁止となったことがニュースになり、検索件数がもっと増えました。Twitterでは英語でこのニュースを見た人の「ground=飛行禁止なんだ」というつぶやきがいくつか見られます。
groundは「グラウンド、校庭」という意味だと思っている方も多いかもしれませんが、これは和製英語です。「グラウンド」は正しくはplaygroundやfield、「校庭」はschoolyardと言います。
ただし、groundには「グラウンド」に近い、「土地、地面」という意味はあります。9.11のテロ事件で崩壊した世界貿易センターの跡地はGround Zeroと言いますよね。ground zeroにはそもそも「最も初歩の段階、中心地、爆心地」などの意味があります。
また、groundには「地面を転がるようにボールを打つ、ゴロを打つ」という意味もあります。「ゴロ」そのものはground ballまたはgrounderと呼ばれ、「2塁ゴロを打つ」ならhit a ground ball to the second basemanです。
groundは熟語での用法も多く、have a lot of ground to coverは、「やらなければならないことがたくさんある」という意味で、Let's realize we still have a lot of ground to cover.(まだやらなければならないことがたくさんあるんですよ)のように用います。
その他にgroundには、罰として「外出禁止にする、自宅謹慎させる」、「罰として行動を制限する」という意味もあり、I got grounded from video games for a week.(私は、1週間テレビゲーム禁止の罰を受けました)などと用います。アメリカの俗語としてとてもよく使われ、小説でもよく目にする表現です。
なお、例文を見るには、無料登録制の「英辞郎 on the WEB Pro Lite」をご利用ください。