12月も中旬に入り、今年も「英辞郎 on the WEB」の検索ランキングを発表する季節がやってまいりました。
→ 英辞郎 on the WEB 検索ランキング 2012
「英辞郎 on the WEB」は、月間で200万人以上の方にお使いいただいており、その検索回数は1年間で十数億回となります。いつもお伝えしていますが、常にたくさんの方にご利用いただいている結果、上位にあがるキーワード(語彙)の顔ぶれは、多少の順位の入れ替えはあるにせよ、ほとんど変わりません(昨年のランキングはこちら)。上位にいる語彙は、日本人が「読みたい・書きたい・話したい」と思うときに、コアとなる語彙なのでしょう。
少しでも楽しんでいただくため、今年はPC版(スペースアルク)、スマートフォン版、そして携帯版(ポケット英辞郎)の TOP 30 を集計し、比較できるようにしました。ここでは各ランキングを少しずつ取り上げて説明したいと思います。
まずは、PC版(スペースアルク)のランキングを見てみましょう。
PC版は上位がビジネスで使用される語彙に偏る傾向があります。 TOP 30 全件はこちら |
上位30位の顔ぶれはやはり昨年のランキングとさほど変わりませんが、英和のランキングで、これまでダントツの1位だった provide が3位に転落し、昨年2位だった confirm が1位、15位だった appreciate が2位に浮上しているのは大きな変化と言えます。英和と和英を比較すると、英和のほうが多く検索されるため、上位の語彙が世の中の大きなイベントにも影響されませんが、和英は影響を受ける割合が高くなります。そのため、22位に「日食」が入る結果となりました(TOP 30 全件 参照)。しかしながら、英和、和英の両方において、ビジネスで多く使われる語彙が非常に多く検索されているのがPC版の特徴です。
では、スマートフォン版はどうでしょうか。
スマートフォンはプライベートのコミュニケーションに多用される? TOP 30 全件はこちら |
英和検索は、PC版と順位は異なるものの、やはり似たような単語が多く並んでいます。しかし、和英検索は大きく異なり、楽しい、嬉しい、残念、のような、感情を伝えるキーワードが上位に並びました。やはりスマートフォンでは、メールやSNSを通じてプライベートのやり取りにおいて発信する機会が多いのでしょう。また、英和の18位(TOP 30 全件 参照)に awesome が入ってきているのもおもしろいと感じました。確かに Twitter や Facebook などに英語で書かれているポストで awesome をよく見かけますね。
全体の検索回数を比較すると、現状ではPC版のほうが圧倒的に多いため、スマートフォンのほうが、こうした語彙が上位に浮上しやすいという状況も考えられます。しかし、それを考慮に入れたとしても、この違いは、現時点でのPCとスマートフォンにおける英語の使用シーンの違いを表していると言えます。
次に、携帯版(ポケット英辞郎)のランキングを見てみましょう。
ポケット英辞郎のサイト内のコンテンツで紹介したフレーズが そのまま上位に来ているパターンが多くなっています。 TOP 30 全件はこちら |
ビジネスで多用されるPC版と比較すると、サイト内の学習コンテンツを使用して英語学習に役立てている方も多く、時節や流行りに順位が大きく影響されるのは以前から見られた特徴でした。しかしここ数年、iモードやEZweb等の携帯サイトが利用できる(いわゆるフィーチャー・フォンと呼ばれる)携帯電話からスマートフォンに移行される方が急速に増えているため、「ポケット英辞郎」の検索数はそれに比例して減少してきています。それにより、「ポケット英辞郎」サイト内のコンテンツで紹介したフレーズ、リンクが張られたキーワードがそのまま上位に入る傾向が強く出てきました。この変化は今後さらに加速する可能性が高いと考えられます。
「ポケット英辞郎」と違い、ユーザーの検索パターンを検出できるだけのアクセス数を維持しているPC版、スマートフォン版は、冒頭にも書いたとおり、1年という長期間で見ると、毎年代わり映えのしない顔ぶれとなりますが、短期間で抽出すると急上昇キーワードが浮き出てきます。
急上昇した検索キーワードを月別にまとめて見てみると、 毎年恒例のものの中に2012年ならではの単語も登場しています。 |
これは、急上昇したキーワードを月別にまとめたものですが、毎年恒例のキーワードの中に、金環日食、eclipse、annular、オリンピック、pluripotent、ハリケーンなど、今年あったできごとにまつわるキーワードが並んでいます。pluripotent はあまり見かけない単語ですが、induced pluripotent stem cell:iPS細胞ですね。10月はノーベル賞の受賞者発表に湧きました。かなりの勢いで上昇していたところを見ると、多くの方が iPS の意味に興味を持たれたのでしょう。
ここで話を一度戻しますが、ランキングに入ったキーワードから、PC版はビジネスで、スマートフォン版はプライベートで利用される割合が高いと述べていますが、さらにその根拠となるデータをここで公開します。
2012年10月の日別訪問数比較(GoogleAnalyticsより) |
上のグラフは、PC版、スマートフォン版それぞれの、2012年10月をサンプルとした1カ月間の日別訪問数の推移です。PC版は平日と休日の利用に大きな差がありますが、スマートフォン版はそれほどではありません。
2012年10月23日の時間帯別比較(GoogleAnalyticsより) |
次のグラフは、2012年10月23日(火曜日)をサンプルとした1日の時間帯別訪問数の推移です。PC版は朝9時から一気に上昇し、12時に一度大きく減少します。13時以降はまた増加し、16時をピークに、その後、夜に向けて減少していきます。スマートフォン版は、朝の8時台に一度ピークを迎え、その後あまり大きな曲線を描かず、また夜間も23時ごろまではアクセスが多くなっています。
検索ランキングのキーワードだけではなく、このようなデータにも、PCはビジネス・シーンで、スマートフォンはプライベート・シーンで多く利用されていることがよく表れています。
最後に、今年はスペルミスの多かった単語のランキングも発表したいと思います。
身に覚えのある単語も多いのでは……。 TOP 30 全件はこちら |
「英辞郎 on the WEB」にはスペルチェッカー機能がついており、誤ったスペルで検索すると、「この中にお探しの単語はありますか?」と、正しいスペルの単語のリンクが表示されるようになっています。これは、このスペルチェッカーが使用されたキーワードのランキングです。これも多少の入れ替えはあるものの、常に同じような単語が上位に並びます。よく間違えられている部分をピンクに色付けしてみましたが、確かに身に覚えのありそうなものが……。
以前もこのブログで紹介したことがありますが、私たちが苦手とするものには下記のようなパターンがあるようです。
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- 子音の連続 : appreciate、accommodate など
- L / R の混同 : available、relevant など
- -tion / -sion などの名詞化の接尾辞の混同 : dimension など
- -se / -ce などで終わる名詞形の混同 : response、inconvenience など
- ie / ei の混同 : achieve、receive など
- in- / im- などの否定の意味を表す接頭辞の混同 : inconvenience など
- i / e の混同 : devide、discription など、
- er / ar / ur / or の混同やミス : persue、forcus、familier など
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英単語を覚える際には、こういったところを注意して覚えておくとよさそうです。
さて、今年のランキング発表は長くなりましたが、お楽しみいただけましたでしょうか。このような発表ができるのも、たくさんの方々に、たくさんの検索をしていただけているからにほかなりません。1年間、本当にありがとうございました。
2012年も残すところあとわずか。2013年も皆さまのお役に立てますように。
→ 英辞郎 on the WEB 検索ランキング 2012
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→ 英辞郎 on the WEB(SPACE ALC)
PC版は、アルクのサイト「SPACE ALC」からご利用いただけます(スマートフォンからアクセスいただいた場合は、スマートフォン版が表示されます)。ご利用は無料ですので、ぜひご活用ください。
→ 英辞郎 on the WEB Pro
Pro版(有料)には「整列・頻度集計」というコロケーション検索機能があり、検索したキーワードがどのような単語と一緒に使われることが多いかを調べることができます。ランキング上位の「よく検索されている」単語が、さらに、どのような単語と「よく一緒に使われているか」もわかります!
→ 携帯版 ポケット英辞郎
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